2003年忘年特集〜夏

「スイカ」

私はスイカが大好物だ。
夏は冷房要らずで、スイカさえあれば他に何もいらない。
それくらいスイカが大好き♪
でも、今年のような冷夏では、さすがの私もスイカがはかどらない。
どんなに大きなスイカでも半分は一気に食べてしまう私でも、こう寒くっちゃ・・・

私は幼い頃、よく高熱をだしては医者のやっかいになっていた。
母から聞いた私の小さい頃のこと。
真冬、風邪でかかりつけの小児科に行ったときのこと。
具合が悪いと食事を取らなくなる私は、その時も飴しか受けつけなかったという。
それでは栄養がつくはずもなく、体力は衰えていく一方だった。
困った医者が私に聞いた。

「何が食べたい?」

「スイカ」
(即答)

「・・・・・スイカか、それは難しいな・・・冬だからね・・・(苦笑)」


母は「あなたのスイカ好きで医者に笑われた」「あなたのようなスイカ好きはいない」と言う。
私は自他共に認める「スイカのプロ」だ!
スーパーで売ってる‘カットスイカ’(4分の1カットなど)は邪道だ!
お上品ぶってスプーンで食べるスイカも邪道だ!

それではここでhpをご覧になったあなたにだけ特別に、スイカの正式な食べ方(tuzi式)を伝授さしあげよう!
1、新聞紙を広げる(一日分全部)
2、包丁と濡れ布巾を用意する
3、スイカを新聞紙の上で食べやすいように切る
4、新聞紙の上に種を飛ばしながら豪快にほおばる!
(お好みに応じて塩をふってもよいが、プロはお薦めしない)(食べながら時々布巾で手や口の周りを拭く)
5、スイカの皮を捨てたら、新聞紙は乾かして再度使う
(穴が開きそうになったら、一枚ずつはがしていく)
以上1から5を繰り返す・・・


我が家には毎年、スイカ売りのトラックがやって来る。青い車体のトラックで、民謡を鳴らしておじさんはやって来る。
「スイカ〜、スイカ〜、甘くておいしいスイカ〜〜!」
とスピーカーから流してやって来る。
我が家には‘スイカ好き’がいるのを知っていて、呼び止めなくとも立ち寄ってくれる(笑)
そして、私はスイカトラックがやってくるのを毎年の楽しみにしている。

今年、冷夏でスイカの売れ行きが悪いらしく、トラックでスイカを売りに来たおじさんが
お盆前だというのに3個1000円という破格値をつけた!
例年なら、お盆すぎの相場値だ。私は迷わず超特大サイズ6個を選んだ!
おじさんはおまけに1個くれたので、全部で超LLサイズのスイカが7個!
廊下に並べた絶景を写真におさめ、廊下を通るたびに笑いがもれたことは言うまでもない・・・
「でへへへ・・・」
「ぐふふふ・・・」




この7個もほぼひとりで完食し、早くも来年の夏が待ち遠しいtuziだった。




「西馬音内の盆踊り」

秋田県西馬音内(にしもない)の盆踊りをご存知でしょうか。
あるテレビ番組で偶然見たのですが、以来虜になってしまったのでした。
優雅で気品があり、身のこなしが太極拳を思わせる・・・
お囃子に鼓(つづみ)が入っているところなどは、京風で只者ではない何かを感じさせるのでした。
私もマスターしたい!!
ぜひ踊ってみたい!!
母とふたりで番組を見ていたのですが「行って見たいねえ・・・」とうっとりテレビを見ていたのです。

そんなある日、バスツアーで「西馬音内盆踊り」行きをみつけた。でも、夜行バスの強行軍である。
母には酷に思えたので、私ひとりで行くことにした。
今年は先発隊で視察と決めこんで・・・


盆踊り会場の本町通り


盆踊りは夜7:00〜11:30まで幽玄な篝火の中で踊られる。
でも、見物は明るいうちから席を確保しないといけないのだ。
桟敷席もあるが、私はお囃子が見える場所で見物したいと目論んでいたのだ!
首尾良く、運良く、ひとりの身軽さからか、お囃子の真ん前特等席をゲットした!
席を確保したので、おみやげ物を物色にぶらぶら・・・
「あるではないの!」(嬉)
西馬音内盆踊り教則ビデオ。
よっしゃー!買いでしょ。
西馬音内盆踊りは編み笠端縫いスタイルと、頭巾藍染スタイルの2パターンがある。
端縫いの浴衣は高価だし、本来は昔から代々親から子へ伝わっている浴衣である。
手に入れるは不可能。
私のような‘にわか西馬音内人’は頭巾で踊るしかあるまい。
ということで、頭巾ゲット!(ちょい怖い)
<彦三頭巾(ひこさずきん)といいます>

町を歩けば旧家では先祖代々の端縫い浴衣を展示して見せている。
私たちはこのお祭り期間中だけ自由に見学することが出来るのだ。


手前は藍染め浴衣、奥が端縫い浴衣


端縫いとは、本絹の布をパッチワークみたいに左右対称に縫い合わせた浴衣のことである。
女性が着ます。この端縫い浴衣を着たときは編み笠を合わせることになっています。


編み笠は顔が見えないようにかぶります
西馬音内特有の急カーブの跳ね上がりがカッコいい!


夕方6:30、寄せ太鼓の演奏が始まりました。いよいよ盆踊りの始まりです!
お三味線の調弦は笛に合わせて高くします。
そこに鼓と鐘が入って、カッコいいですう・・・きてよかった!
盆踊りは7:00からですが9:00くらいまではお子様が主役です。
踊り方には2種類あって、「音頭」(おんど)と「願化」(がんけ)があります。
「音頭」は手がキョンシーになるし、「願化」では回転が入るところが見せ場・・・とにかく、どちらもカッコいいです!
私も踊りたいです!
といっても、見てすぐに踊れる代物ではありません。
とても即座についていけるものではありませんし、難しさをひしひし感じます!
教則ビデオがあるのはもっともなことなのです。


篝火の中で老若男女が踊る踊る・・・
夜が更けるまで踊る・・・


お囃子は男性的で力強く、踊りはたおやかで女性的。
特に「願化」は高級感溢れています。
お色気ムンムンです♪
だから、9:00以降の大人の時間にならないと「願化」は踊られなかったように記憶しています。
「音頭」と「願化」ではお囃子も変わります。でも、ノンストップで踊り続けられます。
カッコいいですう!
日本人の血が騒ぎます!
私はなんだかんだいって結局「日本人なんだ」と感じる瞬間です!


頭巾の踊り子さん


頭巾は「お盆」にあの世から帰ってきている死者を表しているとも言われています。
生きとし生けるものと死者が共に踊る。
これぞ正に「盆踊り」でしょ!!



踊り子さんには熟練した技が必要とされる


夜も更けて11:30が迫ると、お囃子が速くなってきます。
優雅に踊らねばならないところへ、お囃子が速くなるのでそりゃもう、高速回転です。
佳境を迎え、盛り上がりも最高潮!
私は3日間行われた最終日に行きましたので、フィナーレは見物人が通りに出てお囃子をアンコール!
大変なお祭り騒ぎです!
きてよかった!
今度来る時は踊りをマスターして、頭巾かぶって踊りの輪に入るぞー!


編み笠を脱いだ素顔の踊り子さんと、うしろでピースサインしている‘彦三頭巾’(嬉!)


フィルムの最後の1枚で帰り支度の踊り子さんと一緒に写真を撮ることができました。
本当にいい記念になりました!
できあがった写真を見て気がついたのですが、みなさん、程よい年頃です!
若すぎず、老けすぎず、これまでの生き方が顔に表れはじめる年頃です。
そして、これからの生き方が磨きをかけていく・・・そんな年頃のお姉さん方でした。
西馬音内盆踊りが上手に踊れるようになるには、若さだけではないのです。
年輪を重ねて、人生の機微を体験し、味わいを含んだ踊り手になる要素を持ち合わせないことには・・・

どっかの見物客のおばちゃんが、
「20歳過ぎたら踊れないんでしょう?」
と知ったかぶりで踊り子さんに聞いているのに遭遇した・・・
はあ?
盆踊りだっつーの!
老若男女死ぬまで輪に入れるだろ!
死者を迎えているお盆に、先祖を想って踊られるのが盆踊りだろうに!
ショーじゃないんだぞ!
と、私は心の中で叫んでいた。
この、勘違いおばちゃんは年齢制限の呆れた質問をし、踊り子さんに「いいえ、80歳代の人も踊ります」と答えられていた。

西馬音内盆踊りはこの地域の人たちがお盆の3日間先祖に想いを寄せて踊る「伝統」です。
だから、私ごときが頭巾かぶって即席で入れる場ではないのです。
それくらい分かっています。
私は西馬音内で生まれ育った人間ではない。
そんなにわか西馬音内盆踊りファンが輪に入って良いものか・・・
といった遠慮はあるものの、教則ビデオで独習し踊れるようになっちまいました。アハハ・・・
今ではテープかけてひとり部屋をぐるぐる回ってます。
そんな私が哀れでもあり虚しくもあり・・・(涙)

誇りに思える「伝統」を受け継いでいる西馬音内地方を羨ましく思った夏の夜でした。


「西馬音内盆踊保存会」のサイトはこちら
www.bon-odori.jp